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新聞批評抜粋 
ピアニストを生み出す鍛冶工場とも言うべきエリザ・ハンゼンのもとで修行した若きスコットランド人ピアニスト、トレフォー・スミスは、明らかに聴衆との間に絆を結ぶことに成功した。
彼の十本の指は、彼が音符から解き放った音楽の精神とも言うべきものに完璧に奉仕する。この精神とは、単なる当たり前の音楽解釈ではなく、彼と作品、作曲家のそれぞれの世界が融合したところか生じるのだ。
「世界」より

 ...スミスが内向的巨匠であると、すぐさま分かる。と言うのは、彼はその豊かな演奏力をあくまで表現の豊かさのためだけでに駆使し、よくある、見せびらかすような派手な効果をねらったりはしない。あれだけの技術があれば、もちろん、そういう事もたやすくできるであろうが。
「ウェーザー・クリーァ」より

トレフォー・スミスには刻々、より強く聴衆をひきつけていく能力がある。聴衆は、彼の作品解釈に躊躇することなく、ぐいぐい引き込まれていく。
「バーデン新聞」より

スコットランド人トレフォー・スミスの演奏法は、オーケストラの演奏法に比較できる。細部に気を使い、響きに柔軟性を持たせるのだ。表層的な演奏効果を控え、作風に合わせた演奏を重視する。
   「フランクフルター・アルゲマイネ新聞」より


バルトーク演奏のマイスター、...特に旋律に拠る偏りを出さない演奏法が彼のピアニストとしての真の価値を示す。スコットランドに生まれ、ウェールズ地方を経て到来した、まだ無名の英国のピアニストは、この夜、トレフォー・スミスというその名を、熱狂のうちに拍手喝采する聴衆の胸に深く刻み込んだ。
「ジュド・クリーァ」より

スミスのベートーベン・ソナタには、絶大な共感を覚えた。感情と理解のつりあい。あらゆる響きは息吹き、洗練され、鮮やかに彩られていた。
「ハンブルガー・アーベントブラット」より

トレフォー・スミスは卓越した音楽家である。彼の鍵盤タッチは魔法の杖の如く、音符の列を最も美しい音楽に変えてしまう。...ベートーベンのソナタから彼はすべてを引き出した。彼の作品にある男性的な力、豊かな感受性、精神の透徹などをものの見事に融合して開かせる。
「ロイトリンガー・ゲネラル・アンツァイガー」より


トレフォー・スミスは、ムソルグスキーの「展覧会の絵」をまさに鍵盤を使って描き切った。自らの卓越した演奏技術を、節度ある態度で、「絵の描写」、そのためだけに奉仕させたのだ。
「キール通報」より

高度に洗練された鍵盤タッチで、作品の持つ音楽的想念を歌いだし、きめ細かに表現するトレフォー・スミスは、聴衆の心を捉えた。このスコットランド出身のピアニストは、アンコールで最後にシューマンの「子供の情景」を弾いて舞台から姿を消した。この短いエピローグのおかげで、この第三回室内コンサートが、一人の、ピアノを使って語る詩人によって催されたことが、いっそう明らかになった。
「ヴェストファーレン通報」より



トレフォー・スミスは、この道の真のマイスターであろう。彼の謙虚で控えめな、芝居がかったところのない演奏が、聴衆の耳を音楽そのものに向けさせる。
「ラインプファルツ誌」より

ドビッシーのエチュード六曲においてトレフォー・スミスはピアノ本来の素晴らしい響きを最大限に引き出した。リストのダンテ・ファンタジーでは、色彩豊かな音の響き、堪能な演奏によって、この魅惑的な作品の情熱的な語り手となった。
「ハンブルガー・アーベントブラット」より

シューベルトの作品では、トレフォー・スミスはピアニストとしてのスケールの大きさ、芸術家としての自意識を示した。ラベルの「ソナチネ」は、明確な解釈が与えられ、あくまで形式をそこなうことなく、しかも造形的限界を持たぬピアニストに形成され、完璧な優雅さをもって奏された。
「RAI ボーツェン通信」より

力動、表現力と同時に微妙な音のニュアンス、卓越した旋律の高揚、動的静寂が堪能できるコンサートであった。真の喜びを提供してくれた一夜であった。
「リューベック通報」より